2026.07.09販促・マーケティング
【デジタルマーケティング】Vol.34 ECモールの現状をリサーチ 〜Amazon・楽天・Yahoo!・Qoo10・TikTok Shopの今〜
東具でWEB・デジタル事業の責任者をしております重村と申します。
メーカーマーケティングにおいても重要となりつつある、「ECモール」についての最新情報を解説いたします。
■ECモールはどこに出店するべきなのか??
「うちの商品、どのモールに力を入れるべきか」
メーカーのマーケティング担当者や経営層と話していると、必ず出てくる問いです。ECモールは今や単なる販路ではなく、ブランド認知・顧客接点・購買データを取りにいく戦略拠点になっています。
一方で、モールごとの性格はここ数年で大きく変わりました。特に2025年は、TikTok Shopの日本上陸という地殻変動があった年でもあります。そこで今回、主要5モール(Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング・Qoo10・TikTok Shop)の最新動向を、公開データをもとに整理してみました。自社EC戦略やクライアント支援の前提を見直すための、たたき台としてお読みいただければと思います。
■まず全体像 ―― 3強の寡占と、その周縁で起きていること
国内物販EC市場のなかで、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3モールが占めるシェアは依然として圧倒的です。3社合計の流通総額は約11.2兆円、物販系EC市場に対するシェアはおよそ7割超を占めるとされています(インプレス「ネットショップ担当者フォーラム」報道より)。
つまり「モールで売る」という話の主戦場は、まだこの3強にあります。ただし注目すべきは、この巨大な母集団のなかで成長が鈍化しはじめているという点です。楽天グループの2024年度決算では、国内EC流通総額が2000年の株式公開以来はじめてマイナスに転じたと報じられました。市場全体が右肩上がりだった時代は終わり、モール間・チャネル間で顧客を奪い合うフェーズに入っています。
この「成熟した3強」と「そこに切り込む新興勢力(Qoo10・TikTok Shop)」という構図を頭に置くと、各モールの動きが理解しやすくなります。
■モール別に見る特徴と現状
・Amazon ―― 検索起点・カタログ型の巨人
Amazonは「欲しいものが決まっている顧客」が指名検索でたどり着く、いわゆる目的買い(need)型のプラットフォームです。
商品ページ(カタログ)が1つに集約される構造のため、ブランド側は自社ページを自由にデザインしにくく、価格・レビュー・配送スピードでの競争になりやすいのが特徴です。
FBA(フルフィルメント by Amazon)による物流網とプライム会員基盤が最大の武器であり、日用品・家電・ガジェットなど「早く確実に届いてほしい」商材と相性が良いです。メーカーにとっては、ブランドストーリーを語りにくい反面、いったん検索上位とレビュー評価を獲得すれば安定的に売れる「積み上げ型」の販路と言えます。

・楽天市場 ―― 店舗型・ポイント経済圏の王者
楽天市場は、店舗ごとにページを構築できるモール型で、ブランドの世界観や販促を打ち出しやすいのが強みです。
楽天ポイントを軸にした経済圏(楽天カード、楽天モバイル、楽天トラベル等)が顧客を囲い込み、「楽天スーパーSALE」「お買い物マラソン」といったイベント時に購買が集中する独特のリズムを持っています。
裏を返せば、出店・運営コスト(月額固定費・システム利用料・ポイント原資負担など)が相対的に高く、イベント設計やクーポン運用の巧拙が売上を大きく左右します。手離れの良い販路ではなく、運用工数を投下してこそ成果が出るモールである点は、支援側として顧客に必ず伝えるべき前提です。
・Yahoo!ショッピング(LINEヤフー) ―― 低コスト出店とLINE連携
Yahoo!ショッピングは、初期費用・月額固定費が無料で出店できる参入障壁の低さが最大の特徴です。
3強のなかでは流通規模で見劣りするものの、PayPay経済圏との連携で一定のポジションを維持しています。
LINEヤフー統合後の直近の打ち手として、LINEとの連携強化を成長軸に据えている点は要注目です。国内最大級のコミュニケーションアプリであるLINEを起点に、友だち追加・メッセージ配信からの送客・リピート化を狙う構図で、これは自社でLINE公式アカウントを運用しているメーカーにとって、CRM設計上のシナジーが見込める領域です。
※Yahoo!ショッピングは、2013年の「eコマース革命」以来、初期費用・月額システム利用料・売上ロイヤリティを無料に据え置いてきた参入障壁の低さが最大の特徴でした。しかし、この前提が2026年9月に大きく変わり、LINEヤフーは、13年ぶりの大改定として出店プランの有償化を発表しました。

・Qoo10(eBay Japan) ―― K-Beauty特化で若年女性を握る
Qoo10は、3強とは明確に異なる特化型の立ち位置で存在感を高めています。
運営元のeBay Japanによれば、年4回の大型セール「メガ割」を軸に、2022年以降は毎年二桁成長を継続。会員数は2,800万人を超え、月間平均アクティブユーザーは3,500万人規模とされています(eBay Japan発表、2026年3月時点)。
最大の武器はMZ世代の女性 × K-Beautyという明確なポジショニングです。同社は日本のオンライン美容市場で30%以上のシェアを持つビューティー分野のナンバーワンを標榜しており(同社発表、出所:富士経済レポート)、新興コスメブランドの登竜門として機能しています。コスメ・美容系のメーカーにとっては、3強より優先度が高いケースすらあり得る販路です。
・TikTok Shop ―― 2025年最大の変数、「発見購買」の破壊力
そして今回のリサーチで最も注目すべきなのが、2025年7月にサービスを本格開始したTikTok Shopです。
ベクトルグループの分析レポート(分析ツールFastMossのデータに基づく、2026年1月公開)によれば、開始からわずか半年で月次流通総額は約4億円から約60億円へと拡大し、半年間の累計流通額は推計155.4億円に達したとされています。
これは3強の流通規模と比べればまだ小さい数字ですが、成長速度が異次元です。既存モールが「検索して買う(目的買い)」なのに対し、TikTok Shopは動画コンテンツを見ていて衝動的に買う**「発見購買(want)」**を生み出す点が根本的に違います。実際、同レポートでは平均販売単価が約2,528円と低めで、美容・パーソナルケアが販売数量首位、次いでおもちゃ・食品が続くなど、「エンタメ消費」的な購買が中心であることが読み取れます。
さらに重要なのが流入経路の変化です。ライブ配信経由の販売が減少する一方、クリエイターと連携したアカウント経由の販売が伸びており、「自社発信よりクリエイターとの共同戦術」が売上を左右する構造が鮮明になっています。従来の広告出稿型マーケティングとは発想が根本から異なる領域です。
■リサーチしてみて見えたこと
今回あらためて数字を並べてみて、はっきりしたのは「モールを一括りに語る時代は終わった」ということです。
3強(Amazon・楽天・Yahoo!)は市場の大半を押さえる規模の販路である一方、成長は鈍化しつつあり、運用力と経済圏との相性で差がつくフェーズに入っています。Qoo10は特定ターゲット(MZ女性・美容)に刺さる特化型、そしてTikTok Shopは購買動機そのものを作り出す発見型という、まったく異なる役割を担い始めています。
自社商材が「指名買いされる商品」なのか「知られれば欲しくなる商品」なのかによって、優先すべきモールは変わります。特にコスメ・食品・アパレルなど、ビジュアルと物語で選ばれる商材を扱う企業ほど、Qoo10やTikTok Shopといった新興チャネルの検討価値は高いはずです。
もっとも、TikTok Shopは登場からまだ1年に満たず、data・成功パターンともに蓄積が薄い黎明期にあります。過度に楽観視せず、小さく試して自社の勝ち筋を見極める――そんなスタンスが、今のECモール戦略には求められているのではないでしょうか。
■まとめ
東具でもECモール運用に関するご支援を行っており、成功事例も複数ございますので、ご商談の機会をいただけましたらご紹介させていただきます。
■最後に
今回は「ECモール」の現状についてご紹介をさせていただきました。
東具ではデジタル・リアル問わず幅広い領域の企画~運用が可能となっております。
何かございましたらお気軽にお問い合わせを頂けますと幸いです。













